五つの傷が癒えるまで

40代ブラック勤めワープワのおっさんが今更Janne Da Arcを眺めるブログ

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五つの傷が癒えるまで~Root's side-6~

 

『ちょっと、考える』

 

随分経ってから、泣き止んだ俺が出した答えはそれだった。

 

『ちょっと考えて来るわ。時間は、多分いっぱいあるし』

 

シュウが振り向くと、ユータが時計をかざして見せている。

キノは困った顔でこちらを見ている。

 

『え、何?何なん?え、いやまさかのこっちコース?』

 

タッツンは知らなかったようだ。

 

『うん、俺、先に行く所あるから』

 

俺は傷つけ過ぎてしまった。沢山の人を。

自分のやった事の報いは、自分が受けなければならないのだろう。

 

『お前、どさくさに紛れて何やっとったねん。人の陰に隠れてほんまにもう』

 

タッツンは信じられない、という顔をしながら

 

『なあほんまなん?俺と同じって事はないやろうけど、ほんまにこっちなんやったら、何かときっついで。ていうかもう時間?時間切れ?嘘やん何やこれ、俺一体何しに来たんや』

 

怒ったように何か言っている。3人が笑って見ている。こいつらは相変わらずだな。

 

『よっし、じゃ最後にあれ言うていけ、あれ。ほらあの、We are…っていうやつ』

 

やけくそのようにタッツンが右手を差し出す。

はっと気が付いたらしいシュウが、慌てて駆け寄って来てタッツンの手の上に自分の右手を乗せる。

 

『はいはいはい俺も俺も、We are…』

 

いつの間にかシュウの隣に居たユータも、そっと手を伸ばす。

 

『We are…』

 

最後はタッツンの後ろから顔を覗かせたキノが、恥ずかしそうに上から小さな手を重ねる。

 

『はい、We are…』

 

何やってるんだよ。笑いそうになりながら、目の前で積み重なった4つの手を、自分の両手で上下から思いっきり挟み込んだ。

 

『We are Junk!!』

 

5人分の笑い声が、ようやく青空に響いた。