五つの傷が癒えるまで

40代ブラック勤めワープワのおっさんが今更Janne Da Arcを眺めるブログ

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五つの傷が癒えるまで~Root's side-4~

 

どれ位時間が経ったのか、ぼんやりと意識が戻ってくる。

演奏は終わっていて、みんながタッツンの所に集まっている。

 

『じゃあこれ、一時帰宅みたいなもんなん?』

 

シュウが怪訝な顔でタッツンに聞いている。

 

『うん、まあ。でもほら、折角やから華々しく迎えたいやん?それで今日は、な』

 

タッツンは言いにくそうにしながらこちらを振り返り。

 

『おう、やっと起きたん?おはよういらっしゃーい』

『あれ、早かったやん?』

『久し振り、1人で老けたなあ』

『ちょっとまだ片付いてへんねん、ごめんなあ座る所もないわ』

 

口々に話す様子は以前と同じ。俺は不思議な物を見るような気持ちで近寄って。

 

『…久し、ぶり』

 

自分の声が何だかよく分からない。

どうして、みんなこんなに平気な顔で俺を迎えてくれるんだろうか。

 

明らかに俺達は歩く道を違え、戻る事ができないままになってしまった。

その原因は俺。休止に理由が幾らあろうが、解散が俺のせいである事に変わりはない。

 

『どう、したん、みんな』

 

キノとユータは可笑しそうに顔を見合わせて

 

『うん、ルートが来るまでみんなで練習してたねん、な?』

『もうずーっとやで、待ちくたびれたわ』

『同時に今日はタッツンの復帰一発目、と思ったんやけどまだみたいやからな。時間かかるなあやっぱりな』

 

シュウも口ぐちに、何か違う事を言う。だからそうじゃないって。

 

『え、待って、たん?なんで?怒ってへんの?』

『はあ、お前なあ』

 

タッツンが呆れたように溜息混じりに言う。

 

『あれからどんだけ経ってると思うねん、バンドどころか小学校で出会った所までひっくるめても、離れてからの方がずっと長いっちゅーのに』

『ほんまやなあ』

『えー、そんなに経ってたなんて気が付いてなかったわ』

『タッツンなんで言うの、俺わざと黙ってたのに』

『気付いてたん?言うてえや』

『言うてどうすんのそんな事わざわざ』

 

話しながらユータが時計を気にしている。

キノが横から覗き込み、眉をひそめている。

タッツンはこちらに向き直り、神妙な顔で話しかけてくる。

 

『なあルート、また一緒にやろうや。って俺が言うのも変やけど。ルートにはジャンクが一番合ってると思うで』

 

タッツンは痛い程まっすぐに、俺を見つめていた。